
目次
分析ツールと組織
今回はITパスポートのストラテジ系に分類されている分析ツールと組織について解説していきます。
今回の分野はITパスポート以外でも使用されている用語や考え方になりますので、覚えやすいのではないでしょうか?
また、分析ツールや組織の形態を知っておくことにより、他の人とは一歩先に進むこと間違いなしです!
それでは早速見ていきましょう!
分析ツールとグラフの種類
企業では、経営戦略の策定やマーケティングにおいて、様々なデータの分析を行っていきます。データの分析には、グラフの活用が有効となっています。データをグラフによって表すことで、ただの数値を眺めるだけでは分からなかったデータの規則性や関連性に気付くことが可能となります。
ここでは、分析に役立つグラフなどのツールについて紹介していきます!
散布図
2つの項目を縦軸と横軸にとり、点のばらつき方からその2項目の関係性を分析するグラフのことを「散布図」と呼びます。
一方の値が増えるともう一方の値も増える関係を「正の相関」、一方の値が増えるともう一方の値は減る関係のことを「負の相関」、全く関係性がない関係のことを「無相関」といいます。
ヒストグラム
データをいくつかの階級ごとに分け、階級ごとの度数を集計する事により、データの分析を調べるグラフのことを「ヒストグラム」と呼びます。
データの分布を捉えることができます。
管理図
製品の製造工程などによって、製品をサンプリング(抽出)し、中心線や上方管理限界線、下方権利限界線が描かれた平面上にその特性値をプロットしていく図のことを「管理図」と呼びます。
管理限界線を設定することにより、はみ出したデータを異常値と見なしていきます。
工程に異常があるかどうかを検証するために用いられるグラフとなります。
パレート図
値が大きい項目順に並べた棒グラフと、それぞれの値が全体に占める割合を累計していった折れ線グラフを組み合わせていったグラフのことを「パレート図」と呼びます。
重要な項目を把握することができ、「ABC分析」によく使用されます。
ABC分析
「ABC分析」とは、値が全体に占める割合によって、項目をA・B・Cの3つのランクに分け、重要度を分析する分析手法の事です。
例えば、商品ごとの売上データを分析すれば、重点的に力を入れていくべき商品を把握することができ、不良品やクレームの原因ごとにその発生件数を分析していくことができれば、優先的に改善すべき問題を把握することが可能です。
レーダチャート
項目ごとに大きさや量、評価度などを表し、データのバランスを調べるグラフのことを「レーダチャート」と呼びます。
複数の項目の値を放射線状の軸を用いて示し、それを結んで多角形の図にしたグラフです。
デシジションテーブル
ある事柄に関する条件と、それらを満たすとき、満たさないときの行動を一覧にした表のことを「デシジションテーブル(決定表)」と呼びます。
複数の条件がある場合の行動整理に役立つものとなっています。
一般的には、表の上部に条件を示し、下部に行動を示していきます。
<デシジションテーブル>
例えば、1番右の列は、「商品Aの値上げがN(値上げしない)、商品Bの値上げがN(値上げしない)の時、商品Eの値下げは×(実行する)」という意味合いになります。
組織
企業では、1人の社員が全ての業務を行っているのではありません。“お金を管理する人”、“商品を作る人”といったように、役割を分けて業務を行っているのです。このような集団のことを「組織」と呼びます。
組織の形態
組織には、「事業部制組織」、「職能別組織」、「マトリックス組織」、「プロジェクト組織」、「ネットワーク組織」といった様々な組織の形態があります。詳しく見ていきましょう!
<組織の形態>
種類 | 特徴 |
事業部制組織 | 商品や市場、地域ごとに組織を分け、それぞれが独立して仕事を行う。1つの組織の規模が小さくなるため、内部の意思疎通が図りやすい |
職能別組織 | 同じ専門知識を持ったスタッフごとに編成している。専門家が集まって組織することにより、個人の専門技術を最大限発揮することができる |
マトリックス組織 | 事業部制、職能別などの異なる組織構造をミックスした組織。それぞれの組織構造のメリットを得ることが可能だが、複数の上司から指揮・監督を受けるため混乱が生じてしまう可能性がある |
プロジェクト組織 | システム開発などの特定の目的のために、各部門から必要な専門家を集めて編成。一定期間活動していく組織 |
ネットワーク組織 | 複数の独立した組織、部門、人が事業を実現するために、ネットワークのように連携した組織。構成要素間は対等な関係であり、全く異なる業種や部門で編成されることもある |
人材の確保
企業は、仕事をする人である“人材”を確保しなければなりません。企業が人材を確保するためには、労働者や労働者を派遣してくれる派遣会社と、仕事をしてもらうための契約を結ぶ必要があります。
直接雇用契約
企業と労働者の間で雇用契約を結ぶ契約のことを「直接雇用契約」と呼びます。
派遣契約
人材を派遣してもらうように、派遣会社と結ぶ契約のことを「派遣契約」と呼びます。労働者には自社の指揮・命令の下仕事をしてもらいますが、労働者と雇用契約は結んでいません。労働者は、派遣会社と契約を結び、お給料も派遣会社からもらうという仕組みです。
請負契約
自社以外の労働者を確保するための契約形態には、派遣契約の他に「請負契約」と呼ばれるものがあります。請負契約とは、仕事の一部を他の企業に委託する契約のことです。派遣社員とは異なり、仕事を委託した企業の社員に対して、指揮・命令をする事は出来ません。
また、請負契約は“仕事をしたこと”ではなく、“仕事を完成させた結果”に対してお金を支払う契約になっています。
下請負契約
委託した企業から、更に別の企業が仕事を請け負うことを「下請負(再委託)」と呼び、この契約のことを「下請負契約」と呼びます。
なお、請負契約において委託先による再委託を制限したい場合は、契約書にその旨を定めておく必要があるのです。
ダイバーシティ
性別や年齢、国籍、宗教、経験などは人によって様々です。このような多様性のことを「ダイバーシティ」と呼びます。
また、多様な人材を採用して経営に活用することを「ダイバーシティマネジメント」と呼びます。
市場の多様なニーズへの対応や今までにない新しいアイディアを生み出すことなど、様々なことに期待されています。
人材の育成
組織を構成するメンバはずっと同じ、と言うわけではありません。新入社員が入ってきたり、他の企業から転職してきたりなど、人の出入りは様々です。その時に、しっかりと人材を育成することが、最終的に企業の利壁へと繋がるのです。
人材育成の方法に発議のようなものがあります。
ロールプレイング
実際の職場と同じ状況を作り出し、疑似体験をしながら研修を行う方法のことを「ロールプレイング」と呼びます。
例えば飲食店であるならば、新人を2人1組にし、片方が接客係、もう片方が客というふうに役割を設定し、それを演じさせる、とった方法です。
OJTとOff-JT
上司や先輩の指導の下、実際に仕事をしながら知識や技術を習得させる教育方法のことを「(On-the-Job Training)」と呼びます。
一方、仕事を離れて集合研修などによって知識や技術を習得させる教育方法のことを「-(Off-the-Job Training)」と呼びます。
e-ラーニング
PCやインターネット上にある学習用ソフトウェアなどを使って行う教育方法のことを「-ラーニング」と呼びます。集合研修と違い、場所や時間の制約を受けないため、社員が業務の空き時間を利用して、好きなときに学習することが可能であるというメリットがあります。
アダプティブラーニング
1人ひとりの能力や理解度に合わせた教育内容を提供する仕組みのことを「アダプティブラーニング」と呼びます。学習者全員に同じ教育内容を提供するよりも効率よく、尚且つ効果的に教育を行うことが可能です。
分かりやすく説明するならば、集合教育は学校のクラスで行う授業、アダプティブラーニングはマンツーマンで教えて貰える個別塾、とった感じでしょうか。
従来の集合教育では、学習者ごとに異なる教育内容を提供するにはコストがかかり、実現が困難でした。しかし、e-ラーニングなどのITを活用することにより、学習者の進捗や習熟度に合わせた教育内容を自動的に提供することができるようになり、実現しやすくなったのです。
ナレッジマネジメント
社員が仕事で得た知識やノウハウを文書化するなど、組織全体で共有し、有効活用することで経営に活かすことを「ナレッジマネジメント」と呼びます。
ディジタルディバイド
PCやインターネットなどITを活用する能力のことを「情報リテラシ」と呼びます。
また、この情報リテラシや環境の差によって、待遇や収入などの面で生じてしまう格差のことを「ディジタルディバイド」と呼びます。
人材の育成ではできるだけこのディジタルディバイドを抑えるように、育成することもあります。
議論の方法
組織では、議論が行われ、その結果を基に様々な決定をすることがあります。議論の方法には「ブレーンストーミング」と「バズセッション」と呼ばれるものがあります。
ブレーンストーミング
参加者が立場関係なく自由に意見を出し合い、それらを基に更に多数のアイディアを生み出していく方法のことを「ブレーンストーミング」と呼びます。より活発な議論を行うためにブレーンストーミングにはいくつかのルールがあります。“批判厳禁”、“質より量”、“自由奔放”、“結合・便乗歓迎”の4つが主なルールとなっています。
KJ法
ブレーンストーミングと合わせて覚えておきたいのが「KJ法」と呼ばれるものです。
ブレーンストーミングなどで得られた多数の情報は、そのままでは混沌としていて何が重要であるのかよく分かりません。そこで、多数の叙法を整理・分析するための技法として用いられているのが「法」です。
得た情報をカードに書き出し、同じ系統のカードをグループ化し、系統ごとにデータを分類させ、整理・分析してまとめることができます。
カードは付箋などで代用されることが多くなっています。
バズセッション
少人数のグループに分かれて議論をし、その結果をグループのリーダーが発表する方法を「バズセッション」と呼びます。
こうすることにより、ある程度まとまった意見を聞くことができ、まとめる作業をスムーズにすることが可能となります。
デルファイ法
複数の専門から意見を収集して、その結果を専門家へ戻して(フィードバック)、更にそれを踏まえた上で意見をもらう、といったようなサイクルを繰り返しながら意見を修練させていく方法のことを「デルファイ法」と呼びます。
このデルファイ法は、新しい技術の動向を予測するときなどにも使用される方法となっています。
BYOD
社員が私物として持っているPCやスマートフォンなどを業務にも活用することを、「(Bring Your Own Device)」と呼びます。
これは、社員にとって使い慣れた機器で仕事ができるというメリットがあります。また、企業にとっては機器を購入するコストを削減できるというメリットがあるのです。デメリットとしては、セキュリティが企業で管理することができないという点です。セキュリティに関しては、18の『情報セキュリティマネジメント』を是非参照してください!
まとめ
いかがだったでしょうか。今回は分析ツールと組織について解説していきました。
分析ツールに関しては、見たことあるグラフがあったのではないでしょうか?これらはITパスポート以外でも使用されるグラフになってきていますので覚えていて損はないでしょう!
また、組織に関しても、組織の形態や人材の育成方法は会社の業務に関わってくるものになっているので、知っていることで他の人とは一歩先へと進むことができるはずです。
こういった一つ一つのことをしっかりと覚えて行くことによってITパスポートへの合格に1歩近づき、また、社会人として他の人よりも先に進むことができる事でしょう。
みなさん、頑張っていきましょう!
それでは、今回はここまでです!
ITパスポート試験におすすめのテキスト
ここでは、数あるITパスポート試験対策用のテキストの中から特におすすめのテキストを紹介していきます。
栢木先生のITパスポート教室
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テキストの中でも図を使った解説やイラスト分けを利用した分かりやすい解説が行われており、各章の終わりには問題演習を行う事もできるようになっており、インプットとアウトプットが同時にできるようになっています。
更に、アルファベットで書かれた用語は日本語で読み方を記載しておりますので読み方を調べたりする手間がかかりません。
IT系の知識にこれまで全く縁がなく、これから学習する人の気持ちに寄り添ったテキストだと言えます。
キタミ式イラストIT塾 ITパスポート
キタミ式イラストIT塾 ITパスポート 令和03年 (情報処理技術者試験)
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おすすめ書籍の例に漏れず、過去問を掲載しているためインプットと同時にアウトプットを行い知識の定着をしっかりと確認しながら進める事ができます。
上記の「栢木先生のITパスポート教室」よりも更にイラストが多く活用されているため、活字を読んで学習するのが苦手だという方や、本当に読み進めやすいテキストを求めている方にもおすすめです。
いちばんやさしいITパスポート 絶対合格の教科書+出る順問題集
【令和3年度】 いちばんやさしいITパスポート 絶対合格の教科書+出る順問題集
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このテキストは出題範囲の広いITパスポート試験の中から、試験に出てくる重要なポイントに絞って重点的に解説をしているため、無駄なく短期間で合格を目指したい人におすすめの書籍です。
重要なポイントだけだから穴があると言ったこともなく、しっかりと基本知識を身につける事が出来る非常に良い書籍です。
重要用語を暗記するためのページもあるため、コツコツと隙間時間を使って暗記をする時にも非常に良い使い方ができるでしょう。