
業績の評価とマーケティング
今回はITパスポートのストラテジ系に分類される業績の評価とマーケティングについて解説していきます!
特にマーケティングについては、ITパスポートの試験以外にも良く使用されているものばかりとなっていますので、覚えておいて損はないでしょう。
それでは早速見ていきましょう!
業績の評価
企業を取り巻く環境というのは、日々変化しています。そのため、定期的に業務を評価し、必要であれば経営戦略を立て直す必要が出てくるのです。
業務評価の評価基準は、経営戦略と一致していなければ意味はありません。適切な評価指標を設定し、適切な評価手法で評価することによって、経営戦略の実施結果を正しく判断していくのです。
評価の指標
企業目標が達成できているのかどうかを定量的に評価するためには、「1年後に売上金額が4,000万円に達していたら目標達成とする」といったような具体的な指標が必要になってきます。こういった指標のことを「(重要目標達成指標)」と呼びます。
また、目標達成に向けた過程において、「1ヶ月後に売上金額が350万円に達していたら目標達成とする」といったように、進捗度を評価する指標のことを「(重要業績評価指標)」と呼びます。
評価手法
財務的視点だけではなく、多面的に業務評価・経営管理を行う手法として、“財務”、“顧客”、“業務プロセス”、“学習と成長”の4つの視点で分析・評価する「(バランススコアカード)」と呼ばれるものがあります。
<BSCの視点>
視点 | 内容 |
財務 | 売上高、利益などの財務的視点で評価を行う |
顧客 | 商品の信頼性やアフターサービスの充実度など、顧客満足を得ているかどうかという視点で評価を行う |
業務プロセス | 製造やアフターサービスなど、業務の各プロセスにおいて目標を達成できているかどうかという視点で評価を行う |
学習と成長 | 社員の働きやすさや社員教育の充実度など、人材への適切な投資や組織の活性化が行えているかどうかという視点で評価を行う |
CSF
経営戦略の目標や目的を達成する上で、最も重要な要因となるもののことを「(重要成功要因)」と呼びます。
例えば、BSCの結果を基に戦略を立て直す場合には、BSCで定義されている4つの視点ごとにCSFを分析し、優先的且つ集中的に資源を投下する必要が出てきます。
マーケティング
企業が良いと思う商品であったとしても、それが顧客の求めているものと合致していなければ、その商品は売れません。顧客のニーズを的確に把握し、それを反映させた商品を作成、適切に提供するための仕組みを作ることを「マーケティング」と呼びます。
マーケティングの手法には次のようなものがあります。早速見ていきましょう!
マーケティング手法
STP分析
新しい商品を開発するときには、ターゲット層や商品の価値を明確にしていくことが重要となります。そのための手法に、「分析」があります。
まず、市場を年齢や性別、地域などによって細分化する「セグメンテーション」を行います。そして、細分化した市場のうち、どの市場をターゲットとするかを決定する「ターゲティング」を行い、その市場の中でも“他の商品と比べてこの商品には価値がある”と消費者に思わせる差別化のポイント、つまりは市場での位置づけを明らかにする「ポジショニング」を行っていきます。
ワントゥワンマーケティング
多数の顧客を対象とするのではなく、顧客の1人ひとりのニーズに対応していくことを「ワントゥワンマーケティング」と呼びます。
マーケティングミックス
マーケティング要素を「製品(Product)」「価格(Price)」「流通(Place)」「販売促進(Promotion)」の4つに分けて、最も効果が得られるように戦略を組み合わせていく手法を「マーケティングミックス」と呼びます。4つのマーケティング要素は、頭文字をとり「」と呼ばれています。
<4P>
要素 | 内容 |
製品 | 品質、デザイン、サイズ、ブランド、サービス |
価格 | 標準価格、割引、支払い条件 |
流通 | 販売経路、輸送、在庫、店舗の立地 |
販売促進 | 広告、宣伝、インターネットマーケティング |
また上記のようにマーケティング要素を“売り手側”の視点で分類していくのではなく、“買い手側”の視点で再度分類したものを「」と呼びます。4Cとは、「顧客にとっての価値(Customer Value)」「顧客の負担(Cost)」「顧客の利便性(Convenience)」「顧客との対話(Communication)」の4つのことです。
売り手側が良いと思っていても、顧客にとって価値がないと購買には繋がらないため、近年では4Cを取り入れることが多くなってきているのです。
<4Pと4C>
企業側の視点(4P) | 顧客側の視点(4C) | |
製品 | ⇔ | 価値 |
価格 | ⇔ | 負担 |
流通 | ⇔ | 利便性 |
販売促進 | ⇔ | 対話 |
購買行動の分析
マーケティングでは、顧客の購買行動を分析し、その結果を基に戦略を立てることが良くあります。購買行動を分析する手法は次のようなものがあります。
RFM分析
購入履歴の最終購入日(Recency)、購買頻度(Frequency)、累計購買金額(Monetary)の3つの項目に着目して分析する手法の事を、分析と呼びます。
3つの項目で顧客をランク付けし、ランクの高い優良顧客のみに広告を送るなど、効率的な販売促進活動に役立てることができます。
データマイニング
大量のデータから、データの規則性や関連性を導き出す手法の事を「データマイニング」と呼びます。
例えば、「商品Aを購入している人は、商品Bも一緒に購入していることが多い」という規則性を導くことができれば、商品Aと商品Bを近くの売り場で販売するなどして売上の増加に繋げることができます。なお、このように一緒に購入されやすい商品の組合せを分析する手法の事を「バスケット分析」と呼びます。
データマイニングを集計する元のデータには、「データハウス」が使用されます。データハウスとは、企業内に散在している大量のデータを統合して、時系列に蓄積したものです。
ビッグデータ
コンピュータの処理能力の向上やインターネットの普及により、サーバなどに大量のデータが収集されるようになってきました。このような従来のデータベース管理システムなどでは処理が難しいほど巨大で複雑なデータのことを「ビッグデータ」と呼びます。
ビッグデータは、データ量が巨大であるというだけではなく、画像や音声などを多種多様な形式を持って、また、リアルタイムで収集・分析できるという特性もあります。
データサイエンス
ビッグデータは、集めただけでは意味がありません。分析を行い、データの法則や関係性を導き出すことではじめてビジネスに活用できるようになるのです。このように、データの分析を行う専門分野のことを「データサイエンス」と呼び、その研究者や技術者のことを「データサイエンティスト」と呼びます。
データサイエンティストには、ビジネスに関する知識から統計学を中心とした数学の知識、ITの知識など高度でかつ幅広い知識が要求されるのです。
BI
「BI(Business Intelligence)」とは、ビジネスに関わるあらゆる情報を経営者や社員が自ら収集・蓄積・分析し、その結果を経営に役立てることです。
販売促進
広告などを通して消費者に商品を知ってもらい、購買に繋げるために行うありとあらゆる活動のことを「販売促進(プロモーション)」と呼びます。
販売促進の手法には次のような手法があります。
プル戦略とプッシュ戦略
広告などを利用して消費者に直接アプローチする方法を「プル戦略」と呼びます。この戦略は、商品などの購買頻度が高い商品に有効な戦略です。
流通業者や小売業者に働きかけて販売促進を行ってもらう方法を「プッシュ戦略」と呼びます。この戦略は、単価が高く購買頻度が低い商品に有効な戦略となっています。
オムニチャネル
リアルの店舗(実際に存在する店舗)とネットショップを連携させるなど、様々な幅異経路を提供することを「オムニチャネル」と呼びます。消費者が販売経路の違いを意識することなく商品を購入できるようにすることで、利便性を向上させ、購買に繋げることが可能となります。
例えば、リアルの店舗で欲しい商品の在庫が切れていた際、その場でネット注文ができるサービスなどがあります。
オピニオンリーダの活用
新商品を比較的早い段階で購入し、商品に関する情報を他の消費者へ知らせる人のことを「オピニオンリーダ」と呼びます。
例えば、芸能人やYouTuberなど知名度の高い人が商品を購入したとします。その場合、ブログやSNSを通して紹介することで、多くの消費者に商品を知ってもらうことができるのです。
新商品を市場へ浸透させるためには、オピニオンリーダをいち早く取り込むことが重要となってきます。
インバウンドマーケティング
従来では、企業が消費者に対してダイレクトメールを送信するなど、商品の“売り込み”を行うアウトバウンドマーケティングが主流となっていました。現在では、インターネットの普及により情報を得ることが容易となってきているため、消費者は自ら必要な商品やサービスに関する情報を収集するようになりました。
主体的に情報を収集する見込み客の獲得を目的とし、SNSやブログなどを活用して商品を“見付けて貰う”ように仕掛ける手法の事を「インバウンドマーケティング」と呼びます。
マーチャンダイジング
消費者のニーズに合った商品を、適切な数量、価格、タイミング、場所で提供するために行う一連の活動のことを「マーチャンダイジング」と呼びます。
商品が見付けやすいように陳列を工夫したり、競争力のある価格に設定したり、在庫を切らさないように適正な数量を製造したり、といった活動が含まれています。
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は、業績の評価とマーケティングについて解説していきました。
少々ボリューミーな内容となっていますが、この2つ、特にマーケティングについては他の試験でも出やすく、また企業で活用しやすい分野になっているので、覚えておいて損はないでしょう。
ITパスポートの試験でも出やすくなっているので確実に覚えて、点数をゲットしていきましょう!
それでは今回はここまでです!
ITパスポート試験におすすめのテキスト
ここでは、数あるITパスポート試験対策用のテキストの中から特におすすめのテキストを紹介していきます。
栢木先生のITパスポート教室
令和03年 イメージ&クレバー方式でよくわかる 栢木先生のITパスポート教室
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この、栢木先生のITパスポート教室は書籍の帯に「103万人が選んだ教科書」と書いてあるように、毎年多くの受験者に読まれている参考書です。
テキストの中でも図を使った解説やイラスト分けを利用した分かりやすい解説が行われており、各章の終わりには問題演習を行う事もできるようになっており、インプットとアウトプットが同時にできるようになっています。
更に、アルファベットで書かれた用語は日本語で読み方を記載しておりますので読み方を調べたりする手間がかかりません。
IT系の知識にこれまで全く縁がなく、これから学習する人の気持ちに寄り添ったテキストだと言えます。
キタミ式イラストIT塾 ITパスポート
キタミ式イラストIT塾 ITパスポート 令和03年 (情報処理技術者試験)
- きたみりゅうじ
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この、キタミ式イラストIT塾は全体的に学習漫画のような書き方がされており、難解なIT用語を暑かったりしているにもかかわらず、スラスラと読みやすいのが特徴です。
おすすめ書籍の例に漏れず、過去問を掲載しているためインプットと同時にアウトプットを行い知識の定着をしっかりと確認しながら進める事ができます。
上記の「栢木先生のITパスポート教室」よりも更にイラストが多く活用されているため、活字を読んで学習するのが苦手だという方や、本当に読み進めやすいテキストを求めている方にもおすすめです。
いちばんやさしいITパスポート 絶対合格の教科書+出る順問題集
【令和3年度】 いちばんやさしいITパスポート 絶対合格の教科書+出る順問題集
- 高橋 京介
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このテキストは出題範囲の広いITパスポート試験の中から、試験に出てくる重要なポイントに絞って重点的に解説をしているため、無駄なく短期間で合格を目指したい人におすすめの書籍です。
重要なポイントだけだから穴があると言ったこともなく、しっかりと基本知識を身につける事が出来る非常に良い書籍です。
重要用語を暗記するためのページもあるため、コツコツと隙間時間を使って暗記をする時にも非常に良い使い方ができるでしょう。