今回はITパスポート試験で必要な応用ソフトウェアについて解説していきます。
応用ソフトウェアは別名:アプリケーションソフトウェアと呼ばれており、文書を作成するためのワープロソフト、Webを見るためのWebブラウザなど、様々な種類があります。
今回はそのアプリケーションソフトウェアの中でもさらにITパスポートで出題される表計算ソフトについて詳しく説明していきたいと思います。
目次
表計算ソフト
そもそも表計算ソフトってなに?と思う人がいると思いますがこちらを見てください。
これが表計算ソフトです。見覚え、ありますよね?
そう、Excelです。これだけでもう親近感沸きませんか?あれ?沸かない?残念です……。
表計算ソフトは「列」「行」「列番号」「行番号」「セル」の5つの要素で構成されています。
<表計算ソフトの画面>
A | B | C | D | |
1 | ||||
2 | ||||
3 | ||||
4 | ||||
5 |
←列番号
]行
行番号 列
と簡単に解説すると、縦に表示されている数字が「列番号」
横に表示されている英語表記が「列番号」です。
あとは横のことを「行」、縦のことを「列」と呼びます。
また、1つのマスのことは「セル」と呼ばれています。
セルの場所を表わすときは、この列番号と行番号を利用して表わします。
これを「セル番地」といい、この表計算ソフトを利用する際にはかなり使用率の高いものとなっています。
<セル番地>
A | B | C | D | |
1 | ||||
2 | ||||
3 | ||||
4 | ||||
5 |
太陽のマークがあるところは、セル「B2」
黄色の四角い場所がセル範囲「C4:D5」と表わします。
「C4:D5」はC3、C4、D3、D5を含む範囲のことで、「:」を使うことで範囲を表わすことが可能です。
計算式の決まり
表計算ソフトではセルの中に計算式を入れることも出来ます。ただ入力する際は、次のような決まりがあるのです。
1.特別な記号の使用
私たちがよく使っている計算式は、「+」「-」「×」「÷」の記号を使用しています。しかし表計算ソフトでは「+」「-」はそのまま使用することが出来ますが、「×」は「*」、「÷」は「/」を使い、計算をします。
2.セル番地を使う
「1+2+3」というように数値で計算式をする他にも、「A1+A2+A3」 といったようにセル番地で計算式を入力することも出来ます。
そうすることにより、A1に入力されている数値が変更になっても、自動的に表計算ソフトが計算結果を更新して表示してくれます。
計算式を作る
上のように説明しましたが、実際にやってみた方が分かりやすいのがこの表計算ソフトです。ではやっていきましょう!
下の表は4人の生徒のテスト点数一覧です。このようにテストの結果が入力されています。
<テスト結果一覧>
A | B | C | D | E | |
1 | 名前 | 国語 | 数学 | 英語 | 合計 |
2 | 田中 | 70 | 89 | 66 | |
3 | 山本 | 100 | 73 | 82 | |
4 | 川下 | 85 | 85 | 100 | |
5 | 谷口 | 78 | 60 | 70 |
この表のE列に、それぞれの合計点数を計算していきましょう。
まずはセル番地のE2に「田中さん」の合計点数を求める式を書いていきます。
計算式は「B2+C2+D2」となります。
A | B | C | D | E | |
1 | 名前 | 国語 | 数学 | 英語 | 合計 |
2 | 田中 | 70 | 89 | 66 | B2+C2+D2 |
3 | 山本 | 100 | 73 | 82 | |
4 | 川下 | 85 | 85 | 100 | |
5 | 谷口 | 78 | 60 | 70 |
これで式の入力は完了です。
相対参照
続けて他の3人の合計を求めていきましょう。「山本」さんの場合は「B3+C3+D3」、「川下」さんの場合は「B4+C4+D4」となっていきます。
これ、いちいち書いていくの面倒ですよね?
それを解消するための「相対参照」です!
先程の「B3+C3+D3」のように同じような式を繰り返し入力する場合は、入力済みの計算式をコピーすることが可能です。
セルE2に入力した式をコピーしてみましょう!
<計算式をコピーする>
A | B | C | D | E | |
1 | 名前 | 国語 | 数学 | 英語 | 合計 |
2 | 田中 | 70 | 89 | 66 | B2+C2+D2 |
3 | 山本 | 100 | 73 | 82 | B3+C3+D3 |
4 | 川下 | 85 | 85 | 100 | B4+C4+D4 |
5 | 谷口 | 78 | 60 | 70 | B5+C5+D5 |
とこのようになります。
表計算ソフトでは計算式をコピーすると同じ式がそのまま表示されるのではなく、コピー先に合わせてセル番地が自動調整されていくのです。
よくよく見てみると、行の番号が違いますよね?
このような、コピー先のセルに合わせてセル番地を変え、自動調整される参照の仕方を「相対参照」と呼びます。
こういったことをすることで、途中で点数が間違ったとしても点数の部分を変えるだけで、合計点も変化してくれるわけです。
絶対参照
さて、計算式をコピーするときに相対参照をする事でセルが自動的にされることはとても便利です。しかし自動的に変化してくれることが、私たちにとって都合が悪い場面も出てきます。
ここではそれを防ぐための方法を解説していきたいと思います。
<商品ごとの金額>
A | B | C | D | |
1 | 包装代 | |||
2 | 300 | |||
3 | 商品 | 金額 | 合計金額 | |
4 | ハンカチ | 1,000 | ||
5 | ネクタイ | 2,000 | ||
6 | ストール | 4,000 |
となります。そしてC2に「ハンカチ」の包装代込みの金額を求める式を入力していきましょう。
入力する式は「B4+C2」となります。そしてこれをコピーしていくとこのようなことになります。
<商品ごとの合計金額>
A | B | C | D | |
1 | 包装代 | |||
2 | 300 | |||
3 | 商品 | 金額 | 合計金額 | |
4 | ハンカチ | 1,000 | B4+C2 | |
5 | ネクタイ | 2,000 | B5+C3 | |
6 | ストール | 4,000 | B6+C4 |
とC5とC6を見て貰って分かるとおり、包装代ではない金額を計算していることになります。
各商品の金額が入力されている部分は正しく参照されているのですが、包装代は正しく参照されていません。
このように参照するセルから自動調整させたくない場合は、セル番地が動かないように固定する、絶対参照を使用します。
絶対参照は、計算式に「$」のマークを付けて指定します。基本的に動いて欲しくない列番号または行番号の前に「$」マークを付けます。
今回の場合は行が動いてはいけないので「2」の前に$マークを付けていきます。
<絶対参照バージョンコピー>
A | B | C | D | |
1 | 包装代 | |||
2 | 300 | |||
3 | 商品 | 金額 | 合計金額 | |
4 | ハンカチ | 1,000 | B4+C$2 | |
5 | ネクタイ | 2,000 | B5+C$2 | |
6 | ストール | 4,000 | B6+C$2 |
このような感じで、コピー先全ての計算式が包装代のC2を参照できるようになりました。
先程もいったとおり、行だけ、列だけでも、両方固定することも可能なので是非やってみてください。
関数の種類
さて表計算ソフトが出てきたところで、これには更に便利な機能があります。
そう!関数です!!
先程のようにちまちまと手作業でセル番地を入力していっても大丈夫なんですが、正直言って面倒ではありませんか?計算式がより複雑になっていったり、長くなっていったりすると入力作業がとても大変で、「それだったらそのまま数字を入力する!」なんて人も出てくるかも。
関数ではお手軽にそういったことができます。
例えば「A1+A2+A3+A4+A5+A6+A7」という式は「合計(A1:A7) 」といったように短く出来るのです。
基本的には
関数名(引数)
といった書式で入力していきます。
関数名は「どのような計算をしたいのか」
引数は「どの値を計算したいのか」
を意味しています。
ここではITパスポート試験で出題される代表的な関数を紹介させていただこうかと思います。
早速どんな種類のものがあるのか見ていきましょう。
計算式の例 | Excelの関数名 | |
合計 | 合計(A1:A5)
セル範囲A1~A5の合計を求める |
SUM |
平均 | 平均(A1:A5)
セル範囲A1~A5の平均を求める |
AVERAGE |
最大 | 最大(A1:A5)
セル範囲A1~A5の最大値を求める |
MAX |
最小 | 最小(A1:A5)
セル範囲A1~A5の最小値を求める |
MIN |
個数 | 個数(A1:A5)
セル範囲A1~A5の中で空白ではないセルの個数を求める |
COUNT |
条件付個数 | 条件付個数(A1:A5,>B1)
セル範囲A1~B5のうち、B1より値の大きいセルの個数を求める |
COUNTIF |
整数部 | 整数部(A1)
セルA1以下で最大の整数を求める。 |
INT |
剰余 | 余剰(A1,A2)
セルA1をセルA2で割ったときの あまりを表示する |
MOD |
とこんな感じです。
今回は8つの関数を紹介しましたが、正直に言うと整数部と剰余の関数はあまり出てきません。知ってて損はないと思うので「ふーん」程度で考えて貰って大丈夫です。
IF関数
ITパスポートの中で最も頻出頻度の高い関数、それはIF関数です。
IF関数はある条件を設定して、それを満たすか満たさないかで処理結果を分けることが出来る関数です。
かなり便利な機能ではありますが、その分上で紹介したように簡単ではありません。ですが、きっと出来るようになります。
IF関数の書式はこのようになっています。
IF(理論式,式1,式2)
とただ計算式を出してみては分からないので実践していきましょう!
下の表はテストの結果が入力されています。
これからC列に合格か否かを書いていきます。ここではテストの点数が80点以上であれば合格としましょう。
<田中さんで合否を求める>
A | B | C | |
1 | 名前 | 点数 | 結果 |
2 | 田中 | 70 | IF(B2>=80,‘合格’,‘不合格’) |
3 | 山本 | 100 | |
4 | 川下 | 85 | |
5 | 谷口 | 78 |
と、このようにC2に記入することが出来ます。これをコピーしていくと
<計算式をコピー>
A | B | C | |
1 | 名前 | 点数 | 結果 |
2 | 田中 | 70 | IF(B2>=80,‘合格’,‘不合格’) |
3 | 山本 | 100 | IF(B3>=80,‘合格’,‘不合格’) |
4 | 川下 | 85 | IF(B4>=80,‘合格’,‘不合格’) |
5 | 谷口 | 78 | IF(B5>=80,‘合格’,‘不合格’) |
とこのようになります。なお、関数の計算もそのままコピーしてしまうと相対参照されて自動的に調整されるので、固定したい場合は絶対参照をしていく必要があります。
<結果>
A | B | C | |
1 | 名前 | 点数 | 結果 |
2 | 田中 | 70 | 不合格 |
3 | 山本 | 100 | 合格 |
4 | 川下 | 85 | 合格 |
5 | 谷口 | 78 | 不合格 |
これで4人の合否の結果を表示することが出来ました。
関数の入れ子
関数には、引数に更に関数を指定することも可能です。この更に付け加えた関数のことを、入れ子といいます。
IF関数の中に入れ子を入れて指定することで、更に条件を増やして処理結果を分けることが出来るようになります。
今回は90点以上なら優、80点以上なら良、それ以外であれば可を付けていく方法をやってみます。
A | B | C | |
1 | 名前 | 点数 | 結果 |
2 | 田中 | 70 | IF(B2>=90,‘優’,IF(B2>=80,‘良’,‘可’)) |
3 | 山本 | 100 | |
4 | 川下 | 85 | |
5 | 谷口 | 78 |
とこのようにIF関数の中にIF関数を作るようなかたちになります。
それぞれコピーしてみましょう。
A | B | C | |
1 | 名前 | 点数 | 結果 |
2 | 田中 | 70 | IF(B2>=90,‘優’,IF(B2>=80,‘良’,‘可’)) |
3 | 山本 | 100 | IF(B3>=90,‘優’,IF(B2>=80,‘良’,‘可’)) |
4 | 川下 | 85 | IF(B4>=90,‘優’,IF(B2>=80,‘良’,‘可’)) |
5 | 谷口 | 78 | IF(B5>=90,‘優’,IF(B2>=80,‘良’,‘可’)) |
とこのようになります。
これで全員のテスト結果を求めることが出来るのです。
<テスト合否>
A | B | C | |
1 | 名前 | 点数 | 結果 |
2 | 田中 | 70 | 可 |
3 | 山本 | 100 | 優 |
4 | 川下 | 85 | 良 |
5 | 谷口 | 78 | 可 |
まとめ
いかがだったでしょうか?表計算といった実践系は実際に触ってみることで身につきやすく、また理解しやすくなります。
ITパスポート試験のためではなくてもこういった表計算ソフトや関数はいろんなところで役に立ちます。覚えていて損はないでしょう!
今回はここまでです。
1つ1つ確実に覚えることがITパスポートでは合格するための確実な1歩となります。
それ以外でも今回は役に立つことばかりなので是非覚えてみてくださいね!
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